斧節

混ぜるな危険

ジハードは義務

・『日本人のためのイスラム原論小室直樹

 ・ジハードは義務
 ・レイプ被害者が刑罰を受けるイスラム社会

・『イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観』飯山陽
・『イスラム教再考 18億人が信仰する世界宗教の実相』飯山陽
・『中東問題再考』飯山陽
『宗教を生みだす本能 進化論からみたヒトと信仰』ニコラス・ウェイド

 イスラム教の論理にもとづくと、コーラン第2章214節に「神の勝利は近い」と記されている以上、遅かれ早かれ地上でイスラム教徒が勝利することは間違いありません。しかし、イスラム教徒の主体的関与なしに神の勝利が自動的にもたらされるわけでもありません。というのも、コーラン第2章216節「あなたがたには戦いが定められた」に代表されるよう、神は異教徒との戦闘をイスラム教徒に義務づけたからです。コーラン第8章39節で「騒乱がなくなるまで戦え。そして宗教すべてが神のものとなるまで(戦え)」と命じられているように、イスラム教による世界征服が実現されるまでイスラム教徒は戦い続けなければなりません。本当の平和は、自分や仲間が傷つくことなく自然ともたらされるような、そういったものではないのです。


 ジハードが義務であることはコーランハディースの随所で明示されているため、それについては本来そもそも議論の余地がありません。その上ジハードは、義務の中でも神のもとで最高の価値を認められた行為であると信じられています。コーラン第9章41節には、「あなたがたの財産と生命を捧げて、神の道のためにジハードをしなさい。もしあなたがたが理解するならば、それがあなたがたのために最良である」と明示されています。コーラン第4章95節には、「神は財産と生命を捧げるジハード戦士に、(家に)居残っている者より高い位階を授けられる」と記されています。神はそれぞれによい報奨を約束なされるが、さらにハディースにも、人々の中で最高の地位を与えられるのは「神の道に邁進する者」であると記されており、「神の道においてジハードをする人」は天国の中でも最も高いところに迎えられるとも伝えられています。預言者ムハンマドは、「すべての基礎はイスラム、支柱は礼拝、頂点はジハード」といったとも伝えられています。
 ジハードこそが最高の善行であるという見解はこうした正当な論理から導出されるがゆえに、イスラム教的には否定のしようのない正しい見解とされます。イスラム教が戦いの宗教であり、戦いを最善の行為と規定していることは、聖なるテキストやその解釈を通して編まれ続けてきた膨大なイスラム法の著作群を繙けば一目瞭然です。


【『イスラム教の論理』飯山陽〈いいやま・あかり〉(新潮新書、2018年)】

日本に宗教は必要ですか?」の冒頭で問題提起をしたイスラム教徒の女性はジハードをどう考えているのか? 先進国で都合の悪い教えには目をつぶったのだろうか? あたかも創価学会員がウイグル人大虐殺から目を逸(そ)らすように。あるいはジハードの正しさは自明であるがゆえに疑問を差し挟む余地もないということなのか。

 ジハードとは宣教に従わない異教徒との戦いを意味する言葉である。ムハンマドが「コーランか然らずんば剣か」と説いた理由もここにある。異教徒に対する暴力はすべて肯定され、ジハードで戦死した者は天国にゆける。生き甲斐が見つからない若者にとっては十分魅力的な教えだ。しかも天国ではフーリーと呼ばれる金髪で色白の処女72人とやり放題という特典までついている。

 嘘臭いんだよな。いくら人間が愚かとはいえ、目の前にぶら下げられたニンジンがあまりにも世俗的すぎる。男の下半身に訴える宗教の浅ましさよ。

 飯山陽〈いいやま・あかり〉は池内恵〈いけうち・さとし〉と共にイスラム学界のアカデミックハラスメントを暴露した人物で、twitter上では喧嘩上等の女番長といった印象を受ける(笑)。

 日本の名だたるイスラム研究者の殆どが反米主義者で、その反動から親イスラムに傾いているという。学者である以前に政治的イデオロギーが優先しているのだ。

「2050年までに世界の人口の6割はイスラム教徒かキリスト教徒になり、恐らく史上初めて、両宗教の信者数が肩を並べる見通し」と予想されている(米世論調査機関ピュー・リサーチ・センター)。世俗化を拒否するところにイスラム教の強みと弱みがある。ヨーロッパのキリスト教は世俗化が進んでいるが、プロテスタント原理主義ともいうべきアメリカ合衆国イスラム勢力がどこかでぶつかる可能性は高いだろう。欧米が二度の大戦で中東に対して行った仕打ちを思えば、積もりに積もった歴史的な怒りが爆発してもおかしくはない。

 はたまたアメリカが凋落して、中国が台頭することで、世界経済のブロック化が進むのかもしれない。ロシアのウクライナ侵攻がそのきっかけになり得ると思う。