斧節

混ぜるな危険

「安心してください、はいてますよ」

 私はテレビを持っていないので、とにかく明るい安村のことはブリテンズ・ゴット・タレントで知った。何と言っても媚びない態度がよい。日本人は小心なこともあって外国語を話す際、異様なまでにへりくだる人が多い。それにしても、あの馬鹿馬鹿しさがイギリス人にウケるとは意外だった。安村はネタの英訳はカナダ人の落語家・桂三輝に手伝ってもらったが、英語の勉強は全くしていないという。「超ゆっくり」「短い文で」「発音にはこだわらない」との姿勢で臨んだ。多分、ボビー・オロゴンのような印象なのだろう。

 堂々とした態度がアリーシャ・ディクソン(審査員)の心をつかんだ。中途半端な英語の言い回しが「パーンツ!」の反応を生んだ。女性審査員二人が最後に両手(もろて)を挙げるシーンは、まるでミュージカルの振り付けのようだ。見事なコミュニケーションの姿である。私と同じ旭川市出身と知って、ますます好感を抱いた。


【アリーシャ・ディクソン】