・『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ 若き医師が死の直前まで綴った愛の手記』井村和清
・『精神の自由ということ 神なき時代の哲学』アンドレ・コント=スポンヴィル
・ネドじゅんの衝撃
・ネドじゅん×さとうみつろう
・TOLAND VLOG~ネドじゅん
・『白隠禅師 健康法と逸話』直木公彦
・『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』村木弘昌
・『大安般守意経入門 苦を滅して強運になる 正しい呼吸法で無心な判断を』西垣広幸
・『呼吸による気づきの教え パーリ原典「アーナーパーナサティ・スッタ」詳解』井上ウィマラ
・『静坐のすすめ』佐保田鶴治、佐藤幸治編著
・『奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき』ジル・ボルト・テイラー
・『わかっちゃった人たち 悟りについて普通の7人が語ったこと』サリー・ボンジャース
・『悟り系で行こう 「私」が終わる時、「世界」が現れる』那智タケシ
・『瞬間ヒーリングの秘密 QE:純粋な気づきがもたらす驚異の癒し』フランク・キンズロー
・『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』エックハルト・トール
太田昭宏のブログを見て驚いた。正直に書くが「エ、そんな本読んでるの?」との印象を受けた。京都大学出身のエリートで、池田勇退後の青年部を牽引し、公明党の代表や大臣まで務めた人物である。「それでは一生、クリシュナムルティに辿り着けまい」とも思った。ブログを数十ページ閲覧したが食指が動いた本は1冊もなかった。
無論、誰が何を読もうと自由である。しかしながら本の選択にはその人の興味や関心が顕著に表れる。まだ私が上京して間もない頃、勤務先の社長宅で小さな新年会が行われた。宴(うたげ)がだらけた頃、私は立ち上がって本棚にじっと見入った。すると社長が言った。「小野、あんまりジロジロ見ないで欲しいな。なあんか心の中を覗(のぞ)かれているみたいで恥ずかしくなってくる」と。司馬遼太郎ばかりが並ぶ本棚に向かって、「どうして山本周五郎がないんだ?」と心で舌打ちをしたのは確かだ。
ブッダに「教師の握拳(にぎりこぶし)」は存在しない。それに倣(なら)って我が読書道で得てきたエッセンスをどんどん開陳してゆこうと思う。
ネドじゅんの名前は以前から知っていた。ネット友人の一人から「最近はネドじゅんさんの本や動画を見ています」とメールが寄せられた。これが読むきっかけとなった。一読して、「フム」と思った。で、動画を片っ端から視聴した。「これは本物だ」と驚いた。それから、白隠禅師〈はくいんぜんじ〉の呼吸法を学んだ。吃驚仰天(びっくりぎょうてん)した。ネドじゅんが説く呼吸法が酷似していたためだ。更にはエックハルト・トールが教える「インナーボディとつながるエクササイズ」との共通性まで見えた。
ネドじゅんの衝撃を言葉にするのが難しい。私が本を読んだ時に大きく心を動かさなかったのは思想性や哲学性に乏しかったためだ。理論はほぼない。ただ、左脳の働きを抑制し、右脳で生きよと説いて、「エレベーターの呼吸法」の実践を促しているだけだ。ところが彼女は、自分自身が思考を消しただけではなく、自らのサロンを通して多くの人々の思考をも打ち消しているのである。
「私の教えを聞いて変化した者は一人もいない」と70代のクリシュナムルティは語った。ラーマクリシュナにはヴィヴェーカーナンダがいた。ラマナ・マハルシの系譜にはニサルガダッタ・マハラジやプンジャジ(パパジ)が連なる。パラマハンサ・ヨガナンダにも後継者はいた。しかし、クリシュナムルティに後継者はいなかった。
クリシュナムルティ以外はアドヴァイタ・ヴェーダーンタ(不二一元論)で括ることができる。クリシュナムルティはシャンカラを嘲笑い、仏教をも否定する(『ブッダとクリシュナムルティ 人間は変われるか?』)。
しかし不思議なことに今挙げた人々が1960年代から70年代に一斉を風靡したニューエイジ・ムーブメントのバックボーンとなるのである。
一瞥体験をしている人は少なからず存在する。現在、多数の著作が刊行されている。西洋占星術では「魚座から水瓶座の時代に変わる」(21世紀から40世紀まで)と言われていて、これがニューエイジの語源となっている。詳しいことはよく知らないのだが、たぶん悟りを開く人が増え始める。
ネドじゅんの登場は水瓶座の時代を確信させるのに十分である。しかも悟りの内容が軽やかで、認識論に傾きがちな西洋人の悟りとは異なる。それでいて縄文の系譜に連なるところがいかにも日本人らしいところである。
ネドじゅんはクリシュナムルティが説かなかった方法論(修行法)を、それも万人が可能な呼吸法を悟り、広めているのだ。ナオキマンショーへの出演でブレイクした。