池田dAIsaku - 斧節

　そろそろ池田dAIsakuの製造に着手していることだろう。読み方は「いけだディーエーアイサク」である。今後は池田dと省略表記にする。

　2023年はオープンAI元年と呼ばれることになるだろう。もちろんChatGPTの登場によって。新型コロナ騒動が霞むほどの衝撃だった。

　まだ使ったことがない人はBingで試してみるといい。コツは少し長い文章で質問することである。プロンプト（指示文）によって回答がガラリと変わるので工夫が必要だ。近頃では大学の卒論や学校の宿題をChatGPTで済ます連中が増えているそうだ。堀江貴文は自分の文章をChatGPTに学習させて、「堀江貴文が書きそうな文章で～」と指示し、短い文章や講演原稿などを作成している。

　池田dは2種類用意される。「スピーチ版」と「折々の語らい版」である。前者については既にデータベース化されているので赤子の手をひねるような仕事だ。後者についてもさほど時間を要さないだろう。池田の発言に関しては片言隻語に至るまで詳細な記録がとられているが、これも入力する。

　次にVOICEPEAKに池田の音声を学習させる。

　こうした音声合成ソフトは、波形接続型音声合成とかコーパスベース音声合成などと呼ばれている。これは人間の声を録音し、それを子音、母音などに細かく分割するとともに、コーパスと呼ばれる言葉データベースに従って再構築して音声を作り出すというもの。

　ある意味、デジタル録音した声を再生しているとも言えるので、元の人の声の特徴をリアルに再現できる。またその録音時に、楽しそうな声、悲しそうな声、怒った声など、表情を付けた状態で行なうことで、感情ごとのデータベースを作成すれば、感情表現のできる音声合成も可能になる。

【特集：音声合成ソフトの進化がすごい！無料で使えるVOICEVOXや有料のVOICEPEAKを試してみた - PC Watch】

　このようにして池田dは完成する。ところが池田dプロジェクトは隠密裡で進行し、完成した池田dを使えるのはただ一人である。実質的な創価学会の権力者のみが利用することを許され、完璧な利権として後続の会長にその資格が受け継がれてゆくのだ。一般会員は「まるで池田先生のようだ！」と歓呼で応え、選挙と新聞啓蒙の奴隷仕事に邁進する。

　このようにAIは、人間をハッキングして、これまで人間ならではの技能だったもので人間を凌ぐ態勢にある。だが、それだけではない。AIは、まったく人間とは無縁の能力も享受しており、そのおかげで、AIと人間との違いは、たんに程度の問題ではなく、種類の問題になった。AIが持っている、人間とは無縁の能力のうち、とくに重要なものが二つある。接続性と更新可能性だ。

【『21 Lessons　21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ：柴田裕之〈しばた・やすし〉訳（河出書房新社、2019年／河出文庫、2021年）】

「接続性と更新可能性」によって池田dは止まらぬ進化を始める。数年後には歴史上の池田大作を超えた存在となる。その時、コンピュータ画面の前に坐る創価学会の権力者は、神と向かい合う心境となり、今までとは異なる新しい信仰心が芽生えているに違いない。

「接続性と更新可能性」は加速度を増す。池田dはユダヤAI、キリストAI、ムハンマドAIと接続し、世界の大衆が疑問を抱かぬ程度に教義を書き換え、上書きし、表現力に磨きをかけて新たな宗教指導者を作り上げることだろう。