斧節

混ぜるな危険

毛沢東は桂冠詩人

・『繁栄と衰退と オランダ史に日本が見える岡崎久彦
・『陸奥宗光とその時代岡崎久彦
・『陸奥宗光岡崎久彦
・『小村寿太郎とその時代岡崎久彦
・『幣原喜重郎とその時代岡崎久彦

 ・毛沢東桂冠詩人

・『巣鴨日記重光葵
・『吉田茂とその時代 敗戦とは岡崎久彦
・『村田良平回想録』村田良平
・『歴史の教訓 「失敗の本質」と国家戦略』兼原信克

 毛(もう)は、天才的な革命家、思想家、詩人である一方、自己陶酔、耽美主義、享楽主義的志向を深く蔵(ぞう)した孤独な人物だったのであろう。
 戦後の偏向史観は、「孤独の深淵(しんえん)を覗(のぞ)いてこそ、はじめて真の人民愛が生れてくる」などとこじつけているが、実態はおそらくその反対であったのだろう。「シニカル」という言葉は、日本語で「冷笑的」などと訳すが、その意味は、愛情や善意、倫理観などを信じない態度を意味し、「冷たい」と訳すのが最適である。
 カリスマをもって畏敬(いけい)されてはいても、人を愛せず、人からも愛されない孤独さが、江青(こうせい)夫人との結婚にもつながり、大躍進文化大革命の惨憺(さんたん)たる失敗にもつながるのである。
 ともあれ、毛は、革命指導者としては超一級品であった。エドガー・スノーは、毛沢東は「まったく純粋な意味で、教師、政治家、戦略家、指導者、桂冠詩人、国民的英雄、家長、そして歴史上もっとも偉大な解放者である」といっているが、それも正確であろう。


【『重光・東郷とその時代』岡崎久彦〈おかざき・ひさひこ〉(PHP研究所、2001年/PHP文庫、2003年)】

桂冠詩人」とは単なる尊称か。池田は世界芸術文化アカデミーという団体から「桂冠詩人」の称号を授与されている。その後、インドの世界詩歌協会から「世界桂冠詩人」の第1号に選ばれている。ひょっとすると毛沢東への憧れがあったのかもしれない。ただし、池田の場合はゴーストライターが書いているため比較のしようがない。

 エドガー・スノー中国共産党のスポークスマン役を務めたジャーナリストである。毛沢東については、ユン・チアン、J・ハリデイ著『マオ 誰も知らなかった毛沢東』(文庫版は『真説 毛沢東 誰も知らなかった実像』)が詳しい。

 池田と対談をしたことがある石原慎太郎は後に「悪しき天才、巨大な俗物」と評した。「一緒に天下を取ろう」との発言を連発し、政治やカネにまみれた姿を思えば、「世間の法に」染まり切ったようにしか見えない。政治的野心に燃える教団のどこに宗教性があると言うのか? 信仰に名を借りた社会主義勢力といっても過言ではあるまい。

 確かにオルガナイザーとしては一流だ。人の心をつかむのも巧みである。タイプとしては金日成〈キム・イルソン〉に似ているような気もする。金日成は「人たらし」と言われるほど人心掌握に優れていた。