斧節

混ぜるな危険

創価学会は家屋敷を売って寄付をせよと強要

・『闇の流れ 矢野絢也メモ矢野絢也

 ・「私を守れ」
 ・創価学会は家屋敷を売って寄付をせよと強要

『「黒い手帖」裁判全記録』矢野絢也
・『私が愛した池田大作 「虚飾の王」との五〇年矢野絢也
『創価学会 もうひとつのニッポン』島田裕巳、矢野絢也
・『乱脈経理 創価学会VS.国税庁の暗闘ドキュメント矢野絢也

 私は2008(平成20)年5月12日、半世紀以上にわたり所属してきた創価学会ならびに同会の幹部7名を、東京地方裁判所に民事提訴した。それに先立つ5月1日に私と家内、息子夫妻とその娘3人は創価学会を退会した。
 提訴内容は以下の三つである。
(1)2005(平成17)年5月14日、学会青年部幹部5名が私を威迫して、政治評論家としての活動を中止させた。これは憲法で保障された表現の自由ならびに職業選択の自由を侵す違法な行為である。
(2)同年6月15日、学会幹部3名が私との会談の際、私に自宅を売却して2億円、3億円という莫大な金額の寄付をするよう執拗(しつよう)に強要した。
(3)創価学会は機関紙『聖教新聞』などで、私への誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)記事を継続して掲載した。これは名誉毀損にあたる。
 こうした一連の人権侵害行為を行ったことについて、創価学会および同会の幹部に5500万円の賠償を求めている。


【『黒い手帖 創価学会「日本占領計画」の全記録』矢野絢也〈やの・じゅんや〉(講談社、2009年)以下同】

 2005年だから昔の話ではない。矢野の自宅は確か渋谷区松濤にあったとはずだ。私の先輩が仏壇を納入しており、料亭みたいな家屋に甚(いた)く驚いていた。

 家屋敷を売って寄付をせよと強要した事実は重い。しかも矢野と会談したとなれば副会長クラスか古参の幹部だろう。つまり創価学会の最高幹部が「家を売却して財務を行え」と明言したわけだ。絶対にあってはならない姿勢で、創価学会日蓮正宗を嘲笑うことはできないし、統一教会と同じレベルの邪教と考えてよかろう。

 私は学会が巻き込まれた厄介事(やっかいごと)の処理を、学会首脳から、ほぼすべて依頼され、各方面に対応してきた。それらの多くは、およそ口にできないような内容だったが、「学会を守る」「池田先生を守る」という、当時の生きる目的ともいえる思いが私を動かしていた。
 たとえば、私が関わった代表的な出来事を挙げると、学会による言論出版妨害事件創価学会共産党との協定、池田大作名誉会長の女性問題を記事にした『月刊ペン』との裁判、本山大石寺(たいせきじ)との二度にわたる紛争、ルノアール絵画疑惑、捨て金庫事件、国税庁による学会への税務調査などである。
 それ以外にも諸々の事件の顛末(てんまつ)が手帖には記載されている。そのような極秘資料が外部に流出すれば、学会のみならず、政界など多方面に多大な迷惑をかけるだろう。
 多くの事件は既に時効を迎えている。今さら、それを蒸(む)し返し、真相を暴露したところで、多くの人が傷つくだけである。私の心積もりとしては、世間に口外せずに、墓場まで持っていこうと思っていた。ところが、学会はそうは考えず、このような物騒(ぶっそう)な極秘メモを持つ私を危険人物とみなしたようである。

 これが所謂(いわゆる)「黒い手帖」で、矢野のメモは100冊以上に及んだ。学会幹部が無理矢理押収し、後に裁判を起こされている。

 私は今まで創価学会の「体質」を共産党とそっくりだと指摘してきたが、実は学会本部の指示や最高幹部の行動までもがそっくりであることが判る。完全に池田のミスであり、甚だしい誤解に基づいた判断と言わざるを得ない。

 私にとって矢野本は創価学会から離れるきっかけとなった。功労ある者に対してあまりにも酷い仕打ちである。多分、テレビやマスコミの露出が増えた矢野を警戒し過ぎたのであろう。

 だが、創価学会に矢野を守る人物がいなかったのもまた確かである。

 創価学会の反社会性については「カルト認定という宗教弾圧」にも書いたが、矢野本を読むと裁判で組織的な偽証を行っていることが書かれている。上から言われれば裁判で平然と嘘をつくのが創価学会員のあり方なのだろう。これにまさる反社会性はない。