斧節

混ぜるな危険

小室直樹が指摘する創価学会の失敗 その三

佐藤優「池田大作創価学会名誉会長逝去の影響」

 ・小室直樹が指摘する創価学会の失敗 その一
 ・小室直樹が指摘する創価学会の失敗 その二
 ・小室直樹が指摘する創価学会の失敗 その三

水戸学の限界

山本●そこでカトリック日本教を比較してみると一番面白いのは、カトリックで大事なものが日本にはみなないことです。ポープ(法王)がない。セイントがない。ドグマがなくてカノンがない。昔、創価学会の人が私のところへ来て、カトリックのことを聞きたいという。カトリックの組織が2000年ももっているんだから、創価学会も2000年もたしたいというわけです(笑)。(中略)


小室●だから創価学会がもし2000年も続きたければ、まず、法王とセイントをつくるべきなんです。池田大作は一体法王なのかセイントなのか。私の提案は、彼は日蓮代理人としての法王になり、学会内には反池田的セイントを育てて、常に池田批判のダイナミズムから新しいエネルギーを汲(く)みとってゆくといい。そうすれば2000年はもちます。ところがあるところでは自分は日蓮の明確な後継者であるような、別なところではそうでないような、というんでは問題にならない。
 さらに問題なのは上智大学インモース教授に聞いたんですが、創価学会が成功したとき、テキストの十分なものがなかったので、学者にその整備を頼んだということらしい。そして1962年から67年の間に岩本豊(ママ)氏と坂本氏がサンスクリット語と中国語からの学問的なテキストをつくったのを、今度創価学会の根本的なテキストにしたらしい。


【『日本教社会学 戦後日本は民主主義国家にあらず』小室直樹〈こむろ・なおき〉、山本七平〈やまもと・しちへい〉(講談社、1981年ビジネス社、2016年/新装版、2022年)】

 初めて読んだ時は全く理解できなかった。しかし今ならわかる。「岩本豊」は岩本裕〈いわもと・ゆたか〉の誤りか。坂本は不明。

 小室の指摘は創価学会内部にプロテスタント勢力をつくって、批判に耐え得る宗教システムの構築を勧めたものと察する。「三代会長を永遠の師匠」と位置づけたことは「セイント」と考えてよかろう。2000年というのは、イエス誕生から宗教改革を経て、第二次世界大戦で勝利を収め、世界が欧米基準となった20世紀までを指すものと思われる。

 だとすれば、創価学会本部はカトリック化せざるを得ないとも考えられよう。やがて免罪符を販売するに違いない(笑)。

 個人的には「反池田」よりも、「反日蓮」を育てるべきだと主張したい。言うまでもなくブッダの教えに還(かえ)り、日蓮の誤謬(ごびゅう=大乗仏教)を時代的な制約として検証した上で、それでも尚ブッダに連なる精神性を示す他ないだろう。

 その過程で、日蓮系教団の大同団結を図り、ゆくゆくは宗教学的仏教西還を実践すべく、鎌倉仏教~シナ仏教の解体-止揚にまで至れば完璧だ。

 ま、200~300年くらい掛かりそうだ。