斧節

混ぜるな危険

メンタルモデル

・『潜在意識をとことん使いこなす』C・ジェームス・ジェンセン
・『こうして、思考は現実になる』パム・グラウト
・『こうして、思考は現実になる 2』パム・グラウト
・『自動的に夢がかなっていく ブレイン・プログラミング』アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ
・『あなたという習慣を断つ 脳科学が教える新しい自分になる方法』ジョー・ディスペンザ
・『ゆだねるということ あなたの人生に奇跡を起こす法』ディーパック・チョプラ

 ・メンタルモデル

『ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー』由佐美加子、天外伺朗
・『ザ・メンタルモデル ワークブック 自分を「観る」から始まる生きやすさへのパラダイムシフト』由佐美加子、中村伸也
・『奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき』ジル・ボルト・テイラー
・『悟り系で行こう 「私」が終わる時、「世界」が現れる那智タケシ
・『わかっちゃった人たち 悟りについて普通の7人が語ったこと』サリー・ボンジャース
・『ブッダの教え一日一話 今を生きる366の智慧アルボムッレ・スマナサーラ
・『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』草薙龍瞬
・『ザ・ワーク 人生を変える4つの質問バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル
・『タオを生きる あるがままを受け入れる81の言葉バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル
『子供たちとの対話 考えてごらん』J・クリシュナムルティ

由佐●自分がなんのためにこの世界に生まれてきたのか、自分がここでどういう存在なのかがわからないまま生きるのは、本当にしんどい。メンタルモデルは、この社会システムの価値軸という次元ではなく、魂の次元で人間の人生を捉えるための方法なのだと考えています。


【『無意識がわかれば人生が変わる 「現実」は4つのメンタルモデルからつくり出される』前野隆司〈まえの・たかし〉、由佐美加子〈ゆさ・みかこ〉(ワニプラス、2020年)以下同】

 由佐が考案したメンタルモデルは4種類に分かれる。価値なしモデル、愛なしモデル、ひとりぼっちモデル、欠陥欠損モデルである。四箇格言よりもずっとわかりやすい。そもそも日蓮は他宗を批判しただけで自分を振り返ってはいない。

由佐●メンタルモデルは、この世界で生きのびるための信念のようなものです。誰もが自分なりにこれを脳内につくり上げている。そして日常的な行動のほぼすべてが、この信念が傷つき、痛みを感じることを避ける回避行動(克服、逃避)になっています。無意識のうちに痛みを回避しようと、自動的に動いている。

 つまり、メンタルモデルが生存適合OS(オペレーションシステム)として常に作動しているわけだ。友岡雅弥はサンカーラパーリ語)、サンスカーラ(サンスクリット語)を「日常の重力」としたが(『ブッダは歩むブッダは語る ほんとうの釈尊の姿そして宗教のあり方を問う』)、行蘊(ぎょううん)=業と捉えるなら由佐に軍配が上がる。

 西洋のスピリチュアルムーブメントは神智学協会がエポックメーキングとなり(『仏教と西洋の出会いフレデリックルノワール)、アメリカでニューエイジ思想が花開き、トランスパーソナル心理学などを生んだが、結局のところ自己啓発に落ち着いた感がある。ここ半世紀ほどの変化を見つめると日本の近代化に匹敵するほどの勢いで、上座部 vs. 大衆部の歴史よりもはるかに面白い。

 しかもその志向は初期仏教と通底しており、いみじくも後期仏教(大乗)の粉飾された物語性を撃つ恰好になっている。

 由佐美加子は1000人を越える人々との面談を通してメンタルモデルを編み出した。いわば実務の中から生まれたモデルである。宗教的動機がないにもかかわらず、その辺の坊さんや学会幹部よりも深い悟りがある。

 著書としては『ザ・メンタルモデル』の方が古いのだが、読む順序としては本書を先にした方がいいと思う。